ザ・マジックアワー2011年08月18日 18時30分10秒

太陽が沈んでから周囲が暗くなるまでの、世の中が一番きれいに見えるわずかな時間。
それを「マジックアワー」と呼ぶことを知っただけでも得した気分になりました。

序盤ではセットの背景画だった夕空が、終盤で本物に変わるとき、「マジックアワー」の別の意味が語られます。
そして、偽物だったはずのロケのラッシュが存在し、映画館のスクリーンに大写しになった自分の姿を目にするのです。

誰にとって何が本物であり、何が真実なのか。そんなことを考えさせられる映画でした。

クライマーズ・ハイ2010年08月18日 16時45分00秒

「リスク・テイキング」という言葉があります。記事を載せるのにはリスクがあるし、載せなくてもリスクがある。新聞記者の仕事はリスク・テイキングの連続なのだろうなと思いながら見ました。

日航機墜落事故から25年、事故原因についての再調査は行われず、いまだに究明されないままです。

堤真一主演の映画版を見た後、佐藤浩市主演のTV版を見て、リアリティを感じたのはTV版でした。

ビッグ・フィッシュ2008年05月25日 00時51分45秒

この映画を見ていて、人が幸せに生きるためには、次の二つが有効なのではないかと感じました。

ひとつは、“人に釣られない奔放な魚が川で一番になる”という魔女の言葉に示された自立的で主体的な生き方。

軍隊で、ベトナム上空の飛行機からパラシュートで降下する場面がありました。兵隊たちが上官の掛け声に合わせて次々と飛び降りるなか、主人公だけは、時計を見ながら12時ちょうどに飛び降ります。自分の運命を左右するであろう数秒を人任せにするのではなく自分で選ぶ。それが、この映画全編を貫く人生観なのではないでしょうか。

そして、もうひとつは、自分の人生を物語として語ること。

それは、息子のためだけでなく、自分自身のためだったのかもしれません。物語を構想するなかで、さまざまな記憶が関連づけられ、意味づけられていきます。
“息子が生まれたときのことを、ありのままに語るよりは、結婚指輪をのみ込んだでかい魚を釣り上げたという方がずっと面白い”という主治医の話にも示されたとおり、何が本当かということ以上に、何にどんな意味があったのかが重要なのでしょう。

深く心に残る、鮮やかなおとぎ話のような映画でした。

ボーン・アルティメイタム2008年05月17日 22時30分00秒

暗殺者ジェイソン・ボーンが、失った自分の記憶を取り戻すため、CAIを相手に戦うアクション三部作の完結編です。

印象的だったのは、元同僚の女性、ニッキーと対話する場面。「あなたといっしょにいるのは辛かった。何も覚えてない?」というセリフからは、過去の二人の関係が垣間見えますが、うやむやなまま終わってしまいます。まあ、ここでそれを思い出してしまっては、話がややこしくなるのかもしれません。

前作の「ボーン・スプレマシー」で、捜査官パメラがCAIの最高機密へのアクセスを求めた際、「よかろう、特別に許可する。ただし断片的な開示だ。」という返答がなされました。
われわれの記憶も、すべてを覚えているように思えても、実際には断片的なものでしかないはずです。その断片的な記憶を関連づけることによって、それぞれの物語が紡ぎ出されているのでしょう。

ALWAYS 続・三丁目の夕日2007年11月24日 22時58分53秒

日本の高度経済成長が本格化していく1959年。いまから48年前のお話です。

この映画で印象的だったのは、茶川が書いた芥川賞候補作の題名です。なるほど、やられたという気持ちとともに、物語があざやかにつながるのを感じました。見えない指輪にせよ、安い万年筆にせよ、人と人とを結ぶものの存在が、この映画の魅力なのかもしれません。

ものや暮らしが豊かになっていくのも幸せだけれど、お金では買えない価値を生み出したり感じ取ったりできることが幸せなのでしょう。

クローズド・ノート2007年10月03日 22時34分48秒

部屋に残されていた日記帳が、教師を志して大学に通う香恵(沢尻エリカ)を、伊吹先生(竹内結子)と結びつけるという物語です。

日記帳は、2006年4月から2007年3月までのはずなのですが、この映画に描かれた下宿や学校は、それこそ30年ぐらい前のものではないかという気がしました。

万年筆で日記やノートを書くレトロな生活も優雅でいいでしょうね。

ハル2006年07月01日 02時58分38秒

Yahoo!動画で、「ハル」(森田芳光監督、深津絵里主演、1996年公開)を観ました。

インターネットが普及する前、パソコン通信の時代のお話です。冒頭部のモデムの接続音に象徴されるように、毎回毎回、時間をかけて、期待を込めながらコミュニケーションを重ねていたのでしょうね。

それまでにやりとりしたメールを読み返し、自分にとって相手がどんな存在だったのかを確認しながら、互いを求めあうクライマックスが印象的でした。

オーロラの彼方へ2005年09月23日 22時15分58秒

オーロラの夜に生じた時空のねじれから、30年前との無線交信が可能になります。「告別」の相手は恋人でしたが、こちらは自分の父親。いずれも、30年前のその日が相手の死ぬ直前ということが共通しています。

違うのは、「告別」では現在の生活の捉え方が変わるのに対し、こちらは現在の生活そのものまで変えてしまうのですね。たしかに、あのとき別の選択をしていればと思うことはあるけれど...

ちなみに、この映画は1999年という設定ですから、その30年前にあたる1969年は、アポロ11号が月面着陸に成功した年でした。

告別2005年09月16日 00時38分02秒

30年前につながる電話ボックスが登場するのは、赤川次郎原作、大林宣彦監督の「告別」という作品です。

48歳を前にした主人公が、高校生のころに死なせてしまった恋人とのやりとりから得たものは、「家族のせいで自分が不幸だったんじゃない。自分のせいで家族が不幸だったんだ」という気づきでした。

現実の世界に埋没するのではなく、ときには別の世界から現実を捉え直すことも必要なのでしょう。映画というのは、そういった別の世界の入口の一つかもしれません。

オールド・ルーキー2005年09月10日 19時10分07秒

今朝、整体なるものを初めて体験しました。以前から興味はあったのですが、実際に診てもらうと、「かなりずれてます」とのことで、二人がかりで首や背骨をボキボキと... しばらく通うことになりそうです。ということで、午後は自宅でおとなしく「オールド・ルーキー」(原題:THE ROOKIE)を観てました。

いったんはプロ野球選手をこころざしながら怪我のため挫折。その後、高校教師を経て35歳でのメジャーデビューを果たした史上最年長ルーキー、ジム・モリスの物語です。

入団テストに合格したものの、プロへ行くかどうかを迷っている主人公に、父親は、「夢を追うなら、その前に、まず男としての責任を果たせ」という祖父の言葉を伝えます。かつては軍人として各地を転任し、現在は離婚して一人暮らしというこの父親が、はたしてどんな夢を持っていたのか? ちょっと気になるところでした。